日本画の巨匠?平山郁夫らの偽版画が大量に流通した事件などを受け、文化庁は、美術品市場から偽作を排除する対策に乗り出す。市場の信頼性を高めるのが狙いで、国が指針を作るなどして作品の鑑定に関与するほか、ブロックチェーンを使った取引履歴の管理などを推進する。新年度に有識者会議を設置し、具体的な議論を始める。 美術品の鑑定は現在、主に民間団体が行っている。代表的な組織は、前身から40年以上の実績がある一般財団法人「東美鑑定評価機構」(東京)で、昨年見つかった平山郁夫らの偽版画の鑑定も担っている。 しかし、同機構が一部の故人の日本画、洋画、工芸品のみを対象にするなど、民間団体の鑑定は対象が限られる。業界内に鑑定方法に関する統一指針もないため、鑑定結果に疑問を呈されることもあり、国の関与を求める声が高まっていた。 そこで、文化庁は新年度、有識者会議を設置し、美術品の鑑定のあり方などについて具体的な検討を始める。国が鑑定に関する指針を策定して民間団体に鑑定を委託する案や、同機構などの鑑定機関を国が公認する案などが浮上している。